さて, ここで最小距離復号を念頭において, よい符号とは何かを考えてみよう. 符号理論の理念からいって, まず, 通信路で起こるエラーに対してできる限り正しく復号がなされなくてはならない. このことから, 1ブロック内の多くの個所でエラーが起きても対処できるように, d/2の値はできる限り大きいほうがよい. したがって, 誤り訂正能力を問題にした場合, 同じ符号長をもつ符号の中では, 符号の最小距離dが大きいものほどよい符号ということになる.
一方, はじめにも述べたように, 通信はなるべく無駄に時間をかけたりコストがかかったりしない方がよい. このため, 転送効率を問題にした場合には, 誤り訂正を行うためにつける冗長性はできるだけ少ない方がよく, したがって, 符号の情報率はできるだけ大きい方がよい.
以上をまとめると, 自然数nを固定したとき, (n,k,d)-符号については, k/nおよびd/nが大きいものほどよいということになる.
また, 情報率k/nと相対的最小距離d/nが固定されたときは, nが大きいほど誤り訂正能力が高いということもいえる(こちらはちょっと難しい).